ＮＨＫ衛星第２放送 １９：３０〜１９：４５（金曜日は２０：００まで）
この時間は１年前からおしん、ちゅらさんなど人気があったＮＨＫ連続テレビ小説を再放送しています。
ちゅらさんが最終回になって、次は何を再放送するのかなと思っていたらなんと、あぐりが再放送されることに！
再放送記念に、あぐりのドラマのストーリーを日記形式で書くことにしました。
2005/02/01/Tue 第１９週 淳之介の初恋（１１０）
あぐりの家に、隣組副会長の大徳寺喜久という婦人が訪れた。喜久は何かと美容院を敵視していたが、光代が表に出て、応対し体よく追い払った。
淳之介は学校をやめて小説家になろうと考えていたが、燐太郎のアドバイスに従い、とりあえず休学して、その後退学するかどうか考えるいうことにした。
夕食の席で、辰子の妊娠がわかり、あぐりはシャンパンを開ける。もう一つシャンパンを隠していて、それは燐太郎の結婚の時のために用意しているという。
燐太郎は新聞記者の今村つた子という女性とつき合っていた。もっとも燐太郎はまだ結婚は考えていないらしい。燐太郎があぐりに好意を寄せているのは誰の目から見ても明らかだったが、肝心のあぐりは鈍いので、燐太郎の気持ちに気づかない。
数日後、淳之介は光代の使いで片桐の家に行った。片桐は女学生にピアノのレッスンをしていた。その女学生は小学校の頃の同級生、池田諒子だった。
2005/02/02/Wed 第１９週 淳之介の初恋（１１１）
諒子は片桐の妹の孫にあたり、片桐の家にも立ち寄っていたのだ。思わぬ再会に、２人は小学校の頃の思い出話に花を咲かせる。諒子が東京に戻ってきているということは、尚久、南そして安吉にもすぐに伝わった。諒子を射止めるのはたして誰なのか？
一方、あぐりは淳之介が小説家を志していることを知る。あぐりは、淳之介にはエイスケのようになってほしくないと考えており、燐太郎に相談する。燐太郎は淳之介の筆を止めることはできないと小説家の立場として答えた。
淳之介の小説の中に、エイスケが生きている。その言葉を聞いて、あぐりは淳之介の小説をあらためて読み直す。
2005/02/03/Thu 第１９週 淳之介の初恋（１１２）
辰子の夫が南方で戦死したと連絡が来た。気丈に振る舞う辰子だが、こらえきれず、泣き崩れる。
そして安吉にも赤紙、召集令状が来た。出征にあたり、淳之介は安き血が一番喜ぶことをしてやりたいと考える。そして、安吉に諒子と２人だけの時間をつくることにした。諒子は「別れの曲」をピアノで弾き、安吉との別れを惜しむ。
出征の前夜、今日の礼を言いに安吉は淳之介を訪ねる。諒子のことを淳之介に頼む安吉。自分たちの時代が来ることを待ち望んでいた安吉だったが、その日を見ることなく半年後に戦死が伝えられた。
2005/02/04/Fri 第１９週 淳之介の初恋（１１３）
パーマネント機も、鉄製品の供出のため回収されることになってしまった。
パーマをかけることができなくなってしまったあぐり美容院。そこへ、パーマを頼む婦人が現れる。事情を聞くと、老い先短い母があぐり美容院でパーマをかけるのが夢だったという。
燐太郎はつた子の両親に会う予定になっていたが、あぐりのために家庭の電力でも使える携帯用パーマネント機を東京中探し回った。こうしてあぐりは隣組の大徳寺喜久の目をかわして、久しぶりにパーマをすることができた。
第１９週 淳之介の初恋（１１４）
あぐりは光代や今村つた子から、燐太郎が自分のことを好きだということを聞かされる。それを聞き、あぐりは今まで燐太郎に甘えすぎていたことに気づく。そして、燐太郎には自分の幸せを考えて生きるように言う。あぐりの中にまだエイスケがいることを感じた燐太郎、従軍記者になることに決め、東京の地を去った。
次の年の正月、沢子は無事赤ちゃんを産み、あぐりは新年の挨拶をする。あぐりの家に来た燐太郎の年賀状の中には、今村つた子と結婚したと近況が書かれていた。
2005/02/07/Mon 第２０週 さよなら東京（１１５）
太平洋戦争のまっただ中、とうとうカフェ・セ・ラ・ヴィも店じまいをすることになった。バーテンの高山はあぐりに閉店パーティに来てほしいという。そこにはあぐりしかいなかった。エイスケは死に、世津子と森は失踪、鈴音は盛岡へ疎開、燐太郎は戦地へ赴き、カフェ・セ・ラ・ヴィ最後の日に立ち会ってほしい人はあぐり一人となっていたのだ。あぐりは、高山のハーモニカを聞きながら、カフェ・セ・ラ・ヴィで過ごした２０年間を懐かしむ。
淳之介は諒子とつき合いだしていた。尚久も南も２人の交際を応援する。そんなとき岡山から電話がかかってきた。いよいよ淳之介に赤紙、召集令状が来た。
2005/02/08/Tue 第２０週 さよなら東京（１１６）
赤紙が来たが、本当は淳之介は戦争に行きたくない。淳之介は諒子に会うと軍に行く決心がにぶると思い、出発の際諒子に会わずに東京を発った。かわりに、尚久と南に必ず生きて帰るから待っていてくれと、諒子に伝えるように頼んだ。
淳之介ら家族は岡山へ行くと、健太郎らの見送り受け軍に入営していった。
その後しばらくして健太郎から電話がきた。なんと、淳之介は即日帰郷となったという。
2005/02/09/Wed 第２０週 さよなら東京（１１７）
淳之介は喘息持ちであることがわかり、軍から戻ってきた。しかし、淳之介に対する周りの視線は冷たく、いたたまれなくなる。淳之介は早々に岡山から東京に帰ることにした。
東京に帰ると諒子の態度まで冷たい。尚久は諒子に淳之介の伝言を伝えなかったあげく、諒子に結婚まで申し込んでいたのだ。平謝りする淳之介だが、諒子はなかなか許そうとしない。
自暴自棄になる淳之介。空襲警報が鳴っても防空壕に入ろうとせず、家に残っていた。それが功を奏し、泥棒を追い出すことができた。淳之介を見直す弟子や妹。しかしあぐりは淳之介に平手打ちして叱る。自分の命を大切にしろと叱った母親の言葉が淳之介の耳に残った。
2005/02/10/Thu 第２０週 さよなら東京（１１８）
淳之介は軍を即日帰郷された後、静岡の高校を卒業し、帝大の英文学科に入り、再び召集令状を待つ身となった。ちなみに、友人のうち、理工系の尚久は戦争にとられず研究所に勤めており、南は内地に出征した。そして、いつの間にか諒子と淳之介のよりは戻っていた。
戦況も厳しくなり、あぐりは和子と理恵を疎開させることにした。和子はあぐりの前では姉らしく気丈に振る舞うが、疎開先ではやはり寂しがっていた。
光代はバイオリン教師の片桐に自分の家に来てもらおうと考えたが、片桐は断る。そのかわり光代は疎開せず、東京にいることにする。
あぐりは、少しでも生活費を稼ぐためしばらく美容院を続けようとしていたが、いよいよ建物疎開の命令が来た。あぐり美容院は１０日後に取り壊されることになった。
辰子は夫の実家に疎開することに、沢子は結婚相手木村のもとに、そして、とめはあぐりと一緒にいることにした。
弟子たちの去就が決まり、あぐりは最後に沢子と木村の結婚式を美容院で挙げることにした。それは、あぐりにとってほんのひとときの平和だった。
2005/02/11/Fri 第２０週 さよなら東京（１１９）
婚礼の後、沢子はあぐりに礼を言うと、夫とともに東京を去っていった。美容院が取り壊される前の晩、あぐりと辰子は夜通し昔話をした。
そしていよいよ取り壊しの日、あぐりはエイスケの遺影とともに美容院の取り壊しを見届ける。一時呆然としていたものの、あぐりはすぐに立ち直り、露店で店を開くことにする。
戦況はますます厳しくなり、あぐりの家の近くで空襲が起きた。
第２０週 さよなら東京（１２０）
空襲は今までにない激しさだった。
家に残った淳之介を案じるあぐり。淳之介はエイスケの声に導かれ、無事にあぐりと合流する。
夜が明けて、空襲はひとまず収まった。とめは通帳を探して大わらわだ。その横で隣組の大徳寺のおばさんは、うわごとで息子の名を呼んでいた。彼女の息子は戦地でなくなっていたと事情を聞いて、あぐりは彼女に同情する。
片桐が心配になった光代のために、淳之介が片桐の家の様子を見に行く。片桐は一人防空壕に入り、バイオリンを抱えて亡くなった。それを聞いた光代はその場に泣き崩れる。
淳之介は三鷹の尚久の下宿に行くことにした。あぐりはとめのすすめで、とめの実家の山梨に疎開することにした。
2005/02/14/Mon 第２１週 母と子の暑い夏（１２１）
あぐりと、娘の和子・理恵、それに姑の光代は、とめの実家の山梨に疎開した。
淳之介は友人尚久の下宿から大学に通うことになった。下宿のおばさんと聞いていたが、実際に会うと美人の未亡人で、淳之介は彼女に思わず見とれてしまう。
光代は片桐が死んでからというもの、口数が少なくなり呆けた様子になっていた。
疎開先では、とめの父親と寝たきりの母、とめの姉がいた。とめの姉は夫が戦地にいるため、今は家に戻って母親の面倒も見ていた。
とめの父親はあぐりたちを好意的に迎えるが、とめの姉はあぐりたちを快く思っていないようだ。
そのほか、あぐりはとめの幼なじみ本谷富士夫を紹介される。彼は妻を亡くし、一人で小学生の息子を育てていた。一見無愛想だが、なにかとあぐりを助けてくれた。
とめはあぐりに、実家の離れに住んでもらうことにした。あぐりがとめの家を訪ねると、口論が聞こえる。あぐりたちを追い出せと、とめの姉が怒鳴り立てていた。
2005/02/15/Tue 第２１週 母と子の暑い夏（１２２）
とめの厚意に甘えていられないと感じたあぐりは、自力で食べ物を調達するためほうぼうの農家に頼み込む。ようやく食べ物をくれる農家が見つかったが、代わりに洋服を渡すことになった。こうして一枚また一枚と服がなくなっていく。中にはエイスケにプレゼントしてもらった大切な服もあったが、背に腹は代えられない。
また、あぐりは近くの遊んでいる土地で農作物を作ることにした。慣れない手つきに見かねて、とめの幼なじみ富士夫が手伝ってくれた。
あぐりに、文化を表すカルチャーを付けるとアグリカルチャー、農業という意味になる。いつかエイスケが言っていた言葉を思い出しながら、あぐりは土を耕した。
2005/02/16/Wed 第２１週 母と子の暑い夏（１２３）
あぐりたちを邪険にする姉を見かねて、とめはこれ以上あぐりに悪くあたるなら姉の浮気していたことをばらすとおどす。
岡山から健太郎があぐりたちを訪ねてきた。本当は健太郎はあぐりたちに岡山に疎開させようと考えていた。しかし岡山にもアメリカ軍の空襲が及び、あぐりたちを呼び寄せるどころではなくなっていた。
健太郎は光代に、片桐が死ぬ前に送ってきたレコードと手紙を渡す。そして、自分では光代の生きる支えにならないのか、自分と一緒に生きようと切々と訴える。
健太郎が岡山に帰った後、光代はレコードを聞く。ショパンの「別れの曲」を聞きながら、光代は生前の片桐との思い出や、健太郎の言葉を脳裏に浮かべる。その光代の表情に、だんだんと生気がよみがえってくる。
あぐりがいつものように農作業をしていると、傍らに光代の姿があった。あぐりにほほえむ光代。それは片桐が死んで以来、本当に久しぶりの光代の笑顔だった。
2005/02/17/Thu 第２１週 母と子の暑い夏（１２４）
淳之介の下宿先の大家、野々村美和子は未亡人で淳之介より年上のようだが妙な魅力があり、淳之介に言い寄ってくる。
そんなところへ諒子が下宿を訪ねてきた。諒子は通っている国分寺音楽学院の先生に勧められ、兵士の慰安のため舞鶴に行くべきかどうか迷っていて、淳之介に相談する。本当は淳之介に引き留めてほしかった諒子だが、美和子と尚久の邪魔が入りうやむやになってしまう。
一方、あぐりは富士夫の畑で働くことになり、何とか食料を手に入れられるようになった。光代も元気になり畑で働くことになった。
和子と理恵はは疎開先でいじめられる毎日が続く。ビー玉をとられてしまい、和子は富士夫の息子の太郎に頼むと
「自分で取り返さなければ、またいじめられる」とビー玉の勝負を教えてもらう。そして和子はいじめっ子との勝負に勝ってビー玉を取り返した。それからは和子たちはいじめられなくなった。
2005/02/18/Fri 第２１週 母と子の暑い夏（１２５）
尚久が研究所から聞いた話では、広島・長崎に続き東京にも新型爆弾が落ちるという。それを聞いて淳之介は諒子に舞鶴へ慰問を勧める。ところが諒子は淳之介の話を信じない。
下宿の大家美和子はどうせ死んでしまうのだからと、今まで残して置いたそうめんを出して、淳之介と一緒に食べる。死を覚悟した淳之介は、美和子と一緒にその日を過ごす。だが、結局新型爆弾は落ちなかった。
第２１週 母と子の暑い夏（１２６）
諒子は自分を東京から追い出すために淳之介がウソをついていると思っていた。その誤解は解けず、淳之介の説得を無視して、諒子は舞鶴に行ってしまった。あぐりは村の女性の髪を切って日銭を稼ごうとしたが、とめの姉にとがめられすぐにやめてしまう。
次の日、ラジオで玉音放送が流れ、ついに戦争が終わった。日本は負けてしまったが、これでようやく自由な時代が来る。さらに南が生きていたという知らせも入り、いよいよ自分たちの時代が来ると、淳之介と尚久と２人語り合う。
戦争が終わり、いったんは東京に戻り美容院をやろうと考えていたあぐり。しかし、富士夫ととめの仲やとめのブドウ畑が心配になり、今まで世話になった礼も兼ねて、とめと富士夫の畑作業を手伝うことにする。
2005/02/21/Mon 第２２週 夢ふたたび（１２７）
時は流れ、戦争が終わってから、一年が過ぎた。
あぐりは富士夫ととめのぶどう園を手伝っていた。密かに思いを寄せていた富士夫はとめと結婚し、とめは現在妊娠中。
すっかり落ち着いた日々だが、心配なこともあった。光代は肝臓を悪くし寝込む日が多くなっていた。医者に診てもらったが、容態は良くないという。
ある日、新聞で恩師のチェリー山岡の活躍を知るあぐり。とめに美容院を再開しないのか訪ねられるが、ぶどう畑や光代のことを考えるとまだまだ東京に戻るわけにはいかなかった。
一方、東京にいる淳之介は尚久と南の協力を得て、小さな住まいを建てていた。淳之介は結局舞鶴に行った諒子とは別れたままで、おまけに家庭教師のバイトまでクビになってしまい、不運続きだ。戦争が終わってから友人の尚久は建設会社の営業として働き、物資の調達に重宝している。南は弁護士となり、同じ弁護士事務所で働く女性とつきあい始めていた。
淳之介は尚久にすすめれ、ふとした気持ちで三角籤（くじ）を買う。なんと一等をひいた淳之介。二千円というサラリーマン３ヶ月分もの大金を手に入れた。手に入れた賞金で淳之介は尚久・南と３人で温泉に行くことにした。汽車に乗ると、汚い身なりの文士に出会う。見るからに怪しい人物だが、淳之介と妙に気があい、結局彼も温泉についていくことになった。
2005/02/22/Tue 第２２週 夢ふたたび（１２８）
淳之介がお菓子やお土産をたくさん抱えてあぐりたちに会いに来た。淳之介はくじに当たったと正直に言っているが、なんだかエイスケに似てきた淳之介を見て、あぐりと光代は少し不安だ。
次の日、あぐりの住んでいる小屋に、例の変な文士が現れた。その文士はなんと森潤だった。思い出話に花が咲くあぐりたち。
淳之介と森が東京に帰ってから数日後、チェリー山岡から手紙が届いた。チェリーは戦中は家族で埼玉に疎開。戦争が終わってからは戦前アメリカ留学で身につけた英語力を生かして立ち回り、ふたたび銀座山岡美容院を開いていた。そして仕事のパートナー沢田とともに、戦争未亡人を対象に美容師教習所を作ろうとしていて、あぐりにも協力してほしいという。
光代もチェリーの手紙を読み、あぐりに東京に行くようするめるが、あぐりは答えかねていた。
2005/02/23/Wed 第２２週 夢ふたたび（１２９）
あぐりはチェリーの申し出を手紙で断った。肝臓を悪くしている光代の面倒を看るためだった。
その後、岡山から健太郎が光代の見舞いにやってきた。健太郎と光代は話し合い、光代は岡山で静養することにした。光代は自分がもう長くないことに気づいており、自分のために美容師の夢を諦めようとしているあぐりを叱咤した。光代の言葉に思わず泣き出すあぐり。
光代が岡山に戻るのを次の日にひかえ、あぐりと光代は初めて会ったときのことやエイスケとの結婚について語り合う。
次の日トラックで山梨を離れる光代を見送るあぐりたち。その年の秋、光代は岡山の人たちに看取られ、その生涯を閉じた。
2005/02/24/Thu 第２２週 夢ふたたび（１３０）
あぐりは疎開先の山梨から東京に戻り、チェリーと沢田が経営する美容師教習所を頼まれた。あぐりはしばらく考えさせてほしいとチェリーに答える。チェリーの申し出は魅力的だが、あぐり美容院の再開を待ち望んでいる客もいるのだった。
世の中は戦争から復興しつつあり、尚久が人気ラジオ番組「のど自慢」に出ることになった。「リンゴの歌」で出場するが、鐘一つであえなく落選。あまりの音痴ぶりに聞いていた南やあぐりたちは凍り付く。
閑話休題、淳之介は女子校の英語の教師になり、女学生や同僚の教師の人気の的になっていた。
東京でいろいろな人と再会するあぐり。諒子はジャズバンドに入り、駐留軍相手にキャンプ周りをしていた。同じジャズバンドのラッパ吹きの男とつき合っているらしい。
また、カフェ・セ・ラ・ヴィのバーテンダーの高山があぐりを訪ねてきた。カフェ・セ・ラ・ヴィを再開するのだ。あぐりがカフェ・セ・ラ・ヴィで諒子たちのバンド演奏を聞いていると、ドアから世津子が入ってきた。１２年ぶりの再会だった。
2005/02/25/Fri 第２２週 夢ふたたび（１３１）
世津子は森潤を上海に逃した後、自分も上海に渡っていたという。また以前のように婦人現代を作ろうというあぐりや燐太郎。しかし世津子は以前の覇気をすっかりなくしてしまっていた。世津子は、エイスケは自分が殺したようなもの、小説を書くよう追いつめたせいだと自分を責めていた。以前と変わったのは世津子だけではない。燐太郎も自分が戦争を鼓舞するような小説を書いたことに罪悪感を感じ、小説が書けなくなっていた。
しかし、森潤は彼女は傷口をなおしているのであって、変わったわけではないと言う。そしてあぐりに、また自分たちは以前のように戻れると励ます。
ところで淳之介が学校の教師を辞めたと言って家に戻ってきた。学校で同僚の教師や生徒をはじめとする諸々の女性問題が原因だという。あぐりは学校に向かい、あぐり流の恋愛観をぶちまける。そこへどこからか拍手がした。なんとそこにいたのは、かつての岡山高等女学校での教師、山ン婆こと山神先生だった。
第２２週 夢ふたたび（１３２）
山神先生は、淳之介が英語教師をしている女学校の校長先生になっていたのだった。とりあえず山神先生の配慮で、淳之介の問題は不問に付されることになった。さらにあぐりは山神先生に激励され、ふたたび美容院を再開する決意をする。チェリーと沢田は土地を担保に融資してくれることになった。こうしてあぐりは再び夢に向かって動き出す。
結局淳之介は作家になるため、学校の教師を辞めることにした。淳之介は諒子をカフェ・セ・ラ・ヴィで見かけるが、諒子は淳之介に気づかずピアノを弾き続ける。淳之介は諒子と別れた憤りを小説にぶつけていく。小説を書き続ける姿はまるでエイスケのようだった。あぐりは世津子に淳之介の書いた小説を見せる。しぶしぶ淳之介の小説に目を通す世津子だが、読んでいくうちにかつての編集者としての世津子がよみがえってきたようだ。
2005/02/28/Mon 第２３週 立ち直る力（１３３）
あぐりは沢田の出資で美容院を再開することになった。戦争未亡人となった弟子の沢子も美容院にかけつける。
世津子も立ち直り、カフェ・セ・ラ・ヴィに戻った。かつてエイスケたち文士のサロンだったその場所は、今はバンド演奏もできるカフェとなっている。淳之介たちがカフェ・セ・ラ・ヴィで飲んでいると、諒子があらわれた。諒子は同じバンド仲間の三枝とつき合っているらしい。バンドのジャズはカフェ・セ・ラ・ヴィの客にはなかなか受け入れられなかったが、諒子は客のリクエストに応えて曲を弾く。
諒子らが帰った後、淳之介は世津子にある話を持ちかける。エイスケに婦人現代の後を託された淳之介は、教師も大学もやめて婦人現代で編集の仕事を手伝いながら、作家修行を始めることにした。